ステロイド呪縛からの解放

これは私の想像ですが、この国では「ステロイドは使いたくない」とアトピー患者の大半が思っている一方、医者の多くが「ステロイドを使わない治療なんて」と、患者の対応に苦慮しています。これで結果を残せるのでしょうか?ステロイドに不信を抱いたままの患者と、そんな患者を「厄介だな」と思う医者の溝が埋まらないまま民間療法に走る患者の構図が思い浮かびます。

ところが、実際にアトピーを治してみるとステロイドを「使う・使わない」と言った問題が治療の本質ではない事に気付きます。ステロイドを使っても使わなくてもアトピーは治る時は治るし、治らない時は治らない。これが現実なのですから。この真実に気付けば「ステロイドを使う・使わない」なんて問題に振り回される事なく、とにかく「根本治療に専念しよう!」となる気がします。

薬の役割と限界

突然ですが、風邪を引いたとします。「体が重い・・」「熱もある・・」「マズイ!」と感じたあなたは仕事が終わると急いで帰宅。軽い夕食を済ませた後、薬を飲んでベッドに直行。眠っている間、随分汗も出たようです。翌朝、目覚めると、すっかり熱は下がっていました。まるで昨日の症状がウソのよう。体も軽く気分もスッキリ。そこで私達はこんな風に思うのです。「風邪は引き始めが肝心」「効いたよね。早めのパ○ロン!」と。ここで質問。風邪が治ったのはどうして? 私達の多くはここで小さな勘違いをするようです。「それは薬を飲んだから」「早めに薬を飲んだから治ったのさ」と。でも、それって本当?

風邪を直接治せる薬は存在しない

冷静に考えると分かりますが、風邪を治したのは薬ではありません。当たり前の話ですが、風邪を直接治せる薬などこの世に存在しないからです。風邪を治したのは、自分自身。薬はあくまでサポート役に過ぎません。アトピーを治す際、私達はこの事実を再認識する必要がありそうです。

確かに製薬メーカーの風邪薬はよくできています。とりわけ「持続力」と言う点では漢方薬より完成度も高い。そして実際、シャープに効きます。ところで、薬を飲んでも安静にしなければ、その後はどうなったでしょう?薬を飲んでも、無理して徹夜で仕事を続けていれば?翌朝、風邪は治っていたでしょうか?無理です。治っていません。逆に薬がなくても安静にさえしていれば、風邪は治る時がくれば治ります。

薬の役割と限界

このように身体に何らかの異変が生じた場合には、すみやかに休息を取り養生を心がけることが、何より優先されるわけですね。ではアトピーの場合は?アトピーって、風邪のように熱は出ないし頭痛もない。まして寝込むことも無くて、症状と言えばかゆいだけ。でも、風邪もアトピーも対策は同じです。すみやかな休息と養生。これがあってこそ、薬はその役割を果たせるようになる。逆に、これが無ければ薬は体をサポートできない。これが、薬の限界ですね。ここが分かれば「ステロイドを使う・使わない」と言う話が、アトピー治療の本質ではないことも理解できる筈。

治療の基本は、休息と養生。これを心掛けて有効に活用すれば、薬は使っても良し。使いたくなければ、それもまた良しです。私が思うに「ステロイドでアトピーを治す」と言う治療も、「ステロイド無しでアトピーを治す」と言う治療もどちらも少し極端です。アトピーの治療ってそんな二者選択的ではなく、もっと幅のあるもの。そんな風に思います。根本的な治療に関心のある方は、「アトピーの治療:報われる努力と報われない努力」をご覧ください。

ステロイドの悪い毒って何?

脱ステに関しては私自身、失敗の連続でした。どこへ行くにもステロイドを持参。ステロイドが無ければ、日々の生活が成り立たない。そんなステロイド漬けの毎日に、もう嫌気が差していたのは事実でした。ステロイドを一機に止めたのは30歳の時。当時は、マスコミによるステロイドバッシングがピーク。これ以上ステロイドを使い続けても治る見込みを見いだせなかった私は、ある日を境にステロイドを止めました。

あの地獄のリバウンドがやってきたのは、その1か月後。感染症を併発して40度近い熱が続き、全く身動きが取れない状況に陥ったのです。抗生物質の投与で何とか小康状態を取り戻したものの、あれはかなり危険な状態でした。アトピーそのものは、死に至る病気ではありません。しかしアトピーによる感染症では、死亡例もあることを初めて知ったのもこの時でした。

それでも、私には希望がありました。それは体内に貯まったステロイドの悪い毒さえ抜けきれば、アトピーは治ると言う期待です。しかしこの期待は見事に裏切られる結果となりました。なぜなら「脱ステに成功することとアトピーが治ることは別」と言う知識が、当時の私には無かったから。体中から流れ出ていたのは「ステロイドの悪い毒」ではなく単なるリンパ液。そのリンパ液を蓄積されたステロイドの悪い毒と解釈していたのですから、これはもう悲劇を超えて喜劇です。

脱ステでアトピーが治る。と言うのは幻想です。ステロイドを使ったのはアトピーと診断されたから。だったらステロイドを止めれば元のアトピーに戻るだけの話です。脱ステに成功してもアトピーが治る理由はありません。その証拠に脱ステに成功してもアトピーの人は大勢いますから。この点をしっかり押さえていればステロイドは使ってもいいし、嫌なら使わなくてもいい。ステロイドを使う・使わないなんて問題は所詮、枝葉の問題に過ぎないのですから。アトピー治療の本質に興味のある方は「アトピーの治療」をご覧ください。