私は、自分がアトピーの時「一体、この病気の原因は何だ?」と、いつもそれを知りたいと思っていました。原因さえ分かれば問題は解決すると思っていたのです。で、思うだけでなく実際、調べてみました。
当時はまだインターネットが無い時代。収集できる情報も限られていましたが、それでも図書館や書店に出向いて調べてみました。
結論から言うと、私は今でもアトピーの原因を知りません。と言うか、あれから30年以上経った今でも、アトピーの原因は医学的にも特定されていません。
多くの人がいろんな説を唱えていますが、それはあくまで推論。エビデンスが無く、決定的な原因は不明なままです。
では原因が不明のままだと、アトピーは治せないのでしょうか?
私の答えは「NO」です。
原因なんて知らなくてもアトピーを治せる理由
厄介な問題に直面した時、私達はまず「原因」を知ろうとします。「原因」を究明して問題解決を図る。一般的にはこれが模範的なパターンと考えられていて、事実、この流れで進めば大抵の問題は解決される。
ところがこの流れでアトピーを治そうとしても、実は上手くいきません。
普通なら上手くゆく筈のパターンがアトピーには通用しない。
何故でしょう? ちなみにこのパターン。流れを示すと以下のようなイメージです。
問題発生⇒原因を究明⇒原因を特定⇒打開策を実施⇒問題解決
実は、この流れで進んでも打開策が打てません。
試しにネットで「アトピー 原因」で検索してみて下さい。色々出てきますよね。アトピーの原因が・・・。で、そこでは「皮膚のバリア機能」や「遺伝的要因」等の身体的な要因が出てきたり、「ストレス」等の精神的な要因が出てきたり。で、もう少し詳しく調べると、免疫細胞の説明なんかも出てきたりします。
おそらく、ここに書かれていることは本当でしょう。では、これらの原因を知って打開策って思い浮かびますか?
アトピーの原因が遺伝とか精神的要因と言われて「そうか!」と納得して、具体的な打開策が思い浮かびますか?
研究者の視点 or 患者の視点
アトピーの原因なんて、観る視点によって変化してしまいます。
例えば
- 医薬品の開発を目的とした研究者の視点。
- アトピーを治すことだけを目的とした患者の視点。
どうですか?視点、違いますよね?
で、先ほどネットで検索したアトピーの原因。コレってどっちでしょう?
薬や医薬品の開発を目的とした研究者の視点?
それともアトピーを治すことを目的とした患者の視点?
もうひとつ。患者が本当に知りたいのは次のどっち?
- 新薬開発のための、アトピーの原因。
- 自分が治るための、アトピーの原因。
コレ、言葉の遊びではありません。と言うか、重要な視点です。
念のため補足しますが、私はアトピーの新薬開発が無駄と言っているのではありませんので、そこはご理解下さいね。
ただ研究者は医薬品を介して、患者はそこに拘りなくアトピーを治したい。これが双方の本音では?なので、少し言いづらいのですが、ネットなんかでアトピーの原因なんかを調べても、実際「治す」と言う意味ではあまり役に立たないのですよ。と言うか、実際、自分でアトピーを治してみると、原因なんてものは究明するものではないことを自ら知ります。
原因は究明するものではなく、自ずと見えてくるもの
話を戻します。
私の経験からすると、アトピーの原因なんてものは患者が究明するものではありません。それは研究者にお任せすればよいことで、患者は日々やることさえやれば、原因は勝手に見えてくるようになります。
自分から追い求めなくても、向こうからやって来てくれる。しかも「AさんにはAさんの」「BさんにはBさんの」と言った感じで懇切丁寧に個別の情報として。それはある意味、個人データのようなものです。
だから「アトピーの原因は十人十色」なんて言われても全然平気なんですよ。完治への道を歩く過程で、いくらでも応用が効きますからね。
ちなみに、これは全部患者側の視点に立った時の話ですよ。
多分、研究者の視点では見えてこないと思います。何故なら、これは患者自身の「直接体験」がベースになっていて、実際に実践しないと分からない領域ですから。つまり、いくら「泳ぎ方」を研究しても、実際に泳いでみないと泳げるようにはならないのと同じ理屈です。
で、このパターン。流れを示すと以下のような感じ。
問題発生⇒打開策(答え)を実践⇒自ずと原因が分かる⇒問題解決⇒再発もしない
お分かり頂けます?原因の究明。してないですよね?
その前に、もう自然と打開策を打っています。まるで答えを丸写しするイメージですね。
ちなみにこのやり方、試験や定期テストでは使えない。
でもアトピーを治す場合には使えます。全然問題ない。それは、クルマを運転するのに構造とか細かい理屈なんて知らなくても大丈夫なのと同じ。
原因や理論なんてイチイチ究明しなくても問題解決に至るケースは多々あって、あとはそれを使うか使わないか、それだけの話。私はそんな風に思います。
原因に拘るほど危険な領域に突入
ところが、アトピーを治せない人の多くはここで躓きます。
やることだけキチンとやって、やらなくてもよいことには手を出さないのがアトピーを治す際の原則ですが、全く逆をしてしまう。つまり、やらなくてもよいことばかりやって、本当にやらなければならないことはしない。
実はコレ、過去の私そのものなんです。
今回、この話を書こうと思ったのも私自身にこの苦い経験があるからです。
アトピーの原因を調べること自体は悪くはない。ところがそこに執着し過ぎると、事態は少し厄介な方向に進み出します。つまり、やるべきことはやらないで、やらなくてもいいことばかりやってしまうのです。
そもそもアトピーの原因なんて「これ!」と特定できる単一のものではありません。
特に大人のアトピーでは複数の要因が絡み合っています。なので最初から「原因はひとつではない」と分かっていれば、克服へのシナリオも見えやすくなります。
それは絡み合った糸を一つ一つ解くようなやり方ではなく、ドミノ倒しのイメージ。つまり最初のドミノを倒すだけで、後は自動的に全てのドミノが倒れるような方法です。
逆に、これまで「アトピーの原因はコレだ!」とか言って、いろんな説が出ましたが、あれって今はどこへ行ったのでしょう?
アトピーを治す。
このために患者がやることってそれほど多くないし、また難しくもありません。逆に、単調過ぎてバカバカしく感じるかもしれない。でも、その単調なことをコツコツ続けるか、本当にバカバカしく感じて止めてしまうか、ここが大きな分岐点。
なので、原因を究明する時間があれば、その時間をアトピーを治すための実践の時間に使った方が話は早いと思います。やはり基本は大事ですね。